現実は小説よりきなり






二人分の紅茶を入れてリビングに戻ると、琉希也君はソファーに座って部屋をぐるりと見渡してた。


「...どうかした?」

何か物珍しい物でも見つけたのかな?


「いや、同じ間取りでも住む人間が違ったら、全く別物に見えると思ってな?」

動かしていた視線を私に戻すとそう言った。


「そりゃそうだよ」

クスクス笑いながら、テーブルにカップソーサーを並べていく。

ミルクと砂糖のポットと、輪切りレモンを乗せた小皿は中央へと置いた。


「だな?」

「うん。琉希也君の部屋はどんななの?」

私の部屋は暖色系が多いけど、彼の部屋は寒色系ぽい。



彼の対面のソファーに腰を下ろしながら質問した。



「俺の部屋は白黒のモノトーンだな。家具屋なんかは黒で壁と床は白」

「あ、琉希也君ぽい」

フフフと笑った。


「今度遊びに来いよ」

と軽く誘われたので、

「機会があったらね?」

と軽く返しておく。


「...フッ、あっさり交わすなよ」

拗ねた様な表情になった琉希也君に、


「まぁまぁ。冷めないうちにどうぞ」

と紅茶を進めた。


この話はあまり深く掘り下げたくないからね。

彼の部屋になんて呼ばれたら貞操の危機に陥りそうな気がするもん。



「...じゃ、頂く。ま、気長に行くか」

最後の方はボソボソ言ったから聞き取れなかったけど、大した事でも無さそうなので聞き返さなかった。



「砂糖とミルクとレモンは好みに合わせて使ってね」

そう言いながら自分のカップにミルクと砂糖を入れてかき混ぜた。

アールグレーのミルクティが私の一番のお気に入り。



「おう。じゃあ、レモンと砂糖を少し貰うわ」

琉希也君は薬味トングで輪切りレモンを挟むとカップに放り込む。

砂糖を入れてスプーンでかき混ぜる姿は何気に様になってる。

美形と言うのは、動作も優雅なんだと改めて思った。


彼はきっと育ちが良いに違いない。



「ん、どうかしたか?」

あ、見すぎてたらしい。


「...あ、ごめん。琉希也君の動作に見とれてた」

これは本当の事だし。


「...いや、そんなハッキリと見とれてたとか言われたら照れる」

なぜか、照れたらしい琉希也君の頬は少し赤みがかってた。

いや、作法が綺麗だったから、なんだけどね?

ちょっと、違う感じに伝わっちゃったみたいだ。





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