現実は小説よりきなり
「二人だけの秘密だな」
とニヤリと口角を上げる琉希也君に、
「本当に、秘密にしてくれる?」
と聞き返す。
「ああ。別に嵐を困らせてぇ訳でもないしな。確かめたかっただけだから」
と琉希也君が言う。
「ありがとう。言わないでくれるのは助かる」
ホッと胸を撫で下ろす。
「言わねぇの?」
誰になんて聞かなくても分かる。
琉希也君は優しい瞳で私を見据える。
「いつかはね、言わないとって思ってる。私を信じてくれてる友達には知ってもらいたいと思うから」
眞由美や可奈には、本当の事を伝えたい気持ちはある。
「ああ」
「だけど、怖いんだ。自分の全てを晒してしまう事が。昔の私は携帯小説だけが支えだったから」
琉希也君から視線を逸らして影を落とす。
理不尽な理由で一人になってしまった中学時代。
寂しくて、誰かにすがりたかった。
だけど、それが出来なくて、自ら見出だしたのが携帯小説。
自分を偽って過ごした中学時代、携帯小説だけが私を奮い立たせてくれたモノだから。
「ま、急がなくて良いんじゃねぇか?嵐の友達なら分かってくれんだろ。嵐の準備が出来るの待ってくれるはずだ」
なっ?と言った琉希也君の言葉に救われた気がした。
「...ん、だね。二人に伝えられる様に少しずつ心の準備する」
瞳を潤ませて頷いた。
「おう、頑張れ作家さん」
なんて茶化すから、
「その呼ばれ方恥ずかしいんですけど」
と琉希也君を睨んだ。
「クハハ...んな怒んなよ。可愛い顔が台無しだ」
ドキッとするから、そんな綺麗に微笑まないでよね。
心臓に悪い。
「か、可愛くないし」
慌てて視線を逸らして、テーブルの上のカップを掴んで紅茶を飲んだ。
ドキドキ、バクバク、イケメンには慣れてないので、本当に止めて欲しい。
「いや、嵐は目立たないようにわざとしてるけど、素材はかなり良いと思うぜ?」
「そ、そんな事言っても何も出ないからね」
チラッと琉希也君を見る。
「何かが欲しくて言ってんじゃねぇし。っうか、その似合ってねぇだて眼鏡と化粧は止めろよ」
そう言うと意味ありげに笑った琉希也君は立ち上がってこちらに歩いてきた。
や、な、なに?
座ったまま後ろにズルズルと下がる。