現実は小説よりきなり
「あの...泊まるのはちょっと..。帰って欲しい」
本音を口にする。
「だったら、言えば良いだろ?」
当然だろ?ってソファーにふんぞり返った琉希也君。
暴君か!と言いたくなる。
「いや、でも私が何者か?まで話すのは...ちょっと」
「俺を信用してねぇの?」
と鋭い視線で見つめられた。
しかも、そんな寂しそうな顔しないでよ。
私が悪いことしてるみたいじゃん。
「...そう言う訳じゃなくて」
「だったら良いよな?話すよな?」
グイグイ来ないでぇ。
ソファーの背もたれから体を起こした琉希也君はテーブルに両手をついて、こちらを見る。
「...っ..」
ダメだ、逃げ切れそうにない。
「嵐、聞かせて貰おうか」
「はぁ...分かった」
ガクンと肩を落とす。
「んな嫌がんなよ。お前の味方になりてぇだけだ。嵐を困らせたい訳じゃねぇからな」
サラッとそんなことが言える琉希也君は、やっぱり格好良い。
美形な彼にドキドキしたし。
「...フフフ、そんな風に言われたら言うしかないじゃん」
と苦笑いした私に、
「ああ。そのつもりで言った」
と何も隠さない琉希也君は潔い。
彼らをモデルに小説を書いてる事がバレちゃうのは仕方ないと、腹を括る。
「嵐斗、それが私のペンネーム。ラブリーカフェって所で小説を書いてる。数作品は文庫化してるの。そのうちの一本は最近、映画になったの。少しだけ有名かな?」
と苦笑いしたら、
「少しじゃなくかなり有名だろ?ってかすげぇじゃん、それ」
とちょっと興奮してる琉希也君。
彼もこんな風に目を丸くするんだと思う。
「あ~たまたま運が良かったんだよ。それと応援してくれる読者の皆さんのおかげ」
私一人の力じゃない。
ここまで来るのには、沢山の読者の皆に励まして貰ったもん。
「それでも。やっぱり嵐に才能が有るって事だろうが」
「...そうだったら嬉しいな」
寂しさから心の拠り所に書き始めた小説。
今はとても沢山の人に支えられてるから。