現実は小説よりきなり








部屋着から着替えを済ませて、エレベーターで一階へいく。

土日で一時帰宅してる生徒が多いのか、あまり寮生の姿は見えない。


食堂でご飯を食べたいと言う気持ちにもなれずに、食堂を通り過ぎて玄関までやって来た。


外の日差しは強くて、自動ドアを出た途端に戻ろうかと思った。

梅雨の晴れ間ってやつかな?


空は青く太陽はギラギラしていた。


ま、雨が降ってるよりは良いや。


一歩踏み出して、散歩へと出掛けた。




梅雨シーズンもそろそろ終わりかな?


今回のテストが済めば夏休みもすぐそこだ。


テスト勉強の方は何とかなる。

今回は本気を出そうと決めたから、前みたいに成績調整なんて小賢しい事もしなくて良いので気楽だし。


それよりも、締め切り間近の小説の方が大問題だ。


最終回が完結できないとか有り得ないもんね。



昨日の夜に神様にお願いしたのに、アイデアは浮かんでこないんだもん。


あ~ぁ、他力本願したい。


今回みたいな酷いスランプは初めてだし。

あくまで空想で、妄想で。

楽しくやってたのに、書くのが苦痛だと感じるなんて。

こんな日が来るなんて...ショックだ。


最近、色々と有りすぎたからかなぁ。

本気でピンチだ。


通行人の少ない道を近くの公園へ向かって歩く。


時おり吹く風が心地良い。

この分なら、散歩は楽しくできそうだ。

小説の事を考えなければの話だけどね。


あぁ、小説家を仕事にするって、こんな大変だったんだな。

数年やってて初めて感じたよ。


今までは湯水のようにアイデアが沸いてたから、何も困らなかっただけで、本当は大変な仕事なのよね。

どんな仕事でも楽で楽しいものなんてないよねぇ。


今までの自分が奇跡だったのかも知れない。




トボトボ歩きながら到着した公園。


子供連れの親子や、散歩する老人達で賑わっていた。


公園の隅にある木陰になったベンチに腰かけた。


そこから見えるのは、お砂場と遊具で遊ぶ子供達の姿。

そして、それを見守る母親達の井戸端会議。


皆、平和そうで羨ましい。


正直、今書いてる恋愛小説のヒントには全くと言って良いほどならないと言える。


ここに居る意味はあるのだろうか?


ベンチの膝掛けに肘をついて頬杖を付きながらぽんやりと眺める。



< 122 / 123 >

この作品をシェア

pagetop