現実は小説よりきなり
予想外の事態
今日のあれは何だったのだろうか?
寮の自室のベットに座りぼんやりと考える。
編集の樋口さんと喫茶店で打ち合わせた後、店を出て病院に送るとしつこかった樋口さんに断りをいれてたら、古沢君が突然やって来た。
しかも、嵐とか呼び捨てされちゃうし。
古沢君の友達のせいで怪我したからと無理矢理肩を担がれた。
抗議して受け入れてくれないし、腰まで抱かれて密着した状態で駅前のビル内にある整形外科まで連れてかれたんだ。
彼が怖くて抗議と言ってもさほど出来なかったけれど...。
つか...めっちゃ目立ってたし。
古沢君のお陰で、間違いなく悪目立ちしたよね?
あぁ...やだやだ。
明日、学校が怖いよ。
帰りだって、病院で治療を終えるまで待っててくれた古沢君に連れられて寮まで帰る事になったしさ。
色んな人にジロジロ見られた。
あ~私の普通の日常がぁ.....。
古沢君には私の意見なんて何一つ通じなかったなぁ。
病院に一人で行けると言っても。
診察が長くなるので帰ってと言っても。
帰りは一人で帰りたいと言っても。
全部脚下された。
彼の俺様ぶりにホトホト疲れた。
つか、目立ちたくないから言ってたのに分かって貰えなかったんだよね。
彼は普段から目立つ存在でそんなの気にしてないのかも知れないけどさ。
私にとってら目立つのは死活問題なのに。
後ろ手に両手をベッドについて天井を見上げた。
はぁ...出てくるのは溜め息だけだ。
彼があんなに責任感のある人だとは思わなかった。
自分の友達のせいで私が怪我したからって、ここまて付き合ってくれるとはなぁ。
人は見かけによらないかぁ。
古沢君て、人に興味のない人だと思ってた。
女遊びしたり、友達が多い割りにはいつも冷めてる様に見えてたんだけどな。
病院に行って、寮に送ってもらうまで特に話はしてない。
だって、彼とは話題が無いもの。
彼もベラベラとしゃべるタイプでもないしね。
古沢君との会話のない空気は、さほど嫌なものでも無かった。
周囲から向けられる視線には辟易したけどねぇ。
ああ、明日...どんな噂が流されてるのやら...。
考えるだけで頭痛い。