現実は小説よりきなり
「私はぁ、聖子って呼んでねぇ」
ウフフとキャラを作って話す彼女だけはどうしても打ち解けらんないだろうと思う。
「..あ、はい」
無理...絶対に無理だから。
「琉希也ぁ~」
聖子さんは、私なんてもう眼中にないとばかりに琉希也君の座るソファーに駆け寄っていく。
その場所が自分の定位置だと言いたげに琉希也君の隣に座ると、彼の腕に綺麗にネイルの施された指を巻き付けた。
うわぉ、あからさまなのね。
絶対に自分を作ってるであろう彼女に少し鳥肌が立った。
ま、参考にさせてもらお。
今書いてる話の主人公の女の子を邪魔する悪役キャラが欲しかったんだよね。
目に焼き付けようと、彼女を観察してしまうのは私の悪い癖だ。
「嵐ちゃん、琉希也が心配?」
その声に美樹を見れば、なぜかニヤニヤしてて。
あ、何か誤解されてる。
「あ、そう言うんじゃなくて」
だって、私が気になるのは聖子さんの方だし。
「えっ!嵐ちゃんて、琉希也の事好きなの?」
困るよぉなんて顔で私を見るのは日向君。
その声があまりに大きくて皆の視線がこっちに向いた。
おい!何してくれてんだ!
「いや、違う違う!酷い勘違いしないで。そんなんじゃないから」
慌てて顔の前で手を振った。
「ああ"?」
私の言葉に一早く反応したのは琉希也君。
.....そんなに睨まれても。
「アハハ...嵐って面白いわね。気に入った」
困り顔の私とこっちを睨んでる琉希也君を交互に見た霞は何故か大爆笑してる。
いやいや.....空気読んでください。
「琉希也、振られてやんのぉ~」
ハハハ...と琉希也君を指差した遊佐君はお腹を抱えて笑いだす。
ちょ...ちょっと...。
「嵐ちゃん、最高!琉希也、ざま~みろ。嵐ちゃんは私のもんだもんねぇ」
琉希也君にこれ見よがしに私の腕に抱き着いた美樹はやたらと楽しそうだ。
「...チッ..」
琉希也君は不機嫌な舌打ちをしてそっぽを向く。
彼の視線からようやく逃れられた事にホッとした。
あの眼力なんなのよ、半端ないったらありゃりない。