異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました


 これっていわゆる据え膳? でも目を覚ますまで待った方がいいよな。

 そのままソファの前に座って、リズの寝顔をドキドキしながら見つめる。静かな部屋の中で、自分の鼓動だけがやけにうるさく感じた。

 しばらくしてハタと気づく。

 あれ? こんなに意識してドキドキしているのに、体にも気分にも何の変化も現れない。ロック解除されても解脱したままだけど? いつもと変わりなくちっともムラムラしない。

 そう思った途端、急速に熱が冷めていった。
 オレは大きくため息をついて立ち上がる。

「……後かたづけしてこよう」

 ずっとロックかかってたし、オレが解脱してるからシステムが機能しなくなったんだろう。
 どうせ酔いが醒めたら、リズは近付いただけで真っ赤になって逃げるんだろうし。

 ダイニングテーブルに並んだ食器をまとめてキッチンへ引き上げる。洗浄マシンに洗い物を放り込んでスイッチを押したとき、リビングからリズの悲痛な叫びがこだました。

「あぁぁーっ!」

 オレは慌ててリビングに駆け込む。

「どうした、リズ!」

 体を起こしてソファの上に座り込んだリズは頭を抱えていた。
 身を屈めて顔をのぞき込む。

「頭が痛いの?」
「……うん」
「アルコール分解に効くお茶を淹れようか?」
「ううん。体はもう大丈夫。ただ……」
「ただ?」
「うっかりエロボットのエロ機能ロックを解除してしまったかと思うと……」
「こら、誰がエロボットだ」

 どうやら正気に戻ったようでホッとした。てか、心配して損した。記憶は飛んでないらしい。


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