28才の初恋
「じゃあ、また明日……」

 大樹クンの手を掴んだまま、タクシーの座席に乗り込む。
 座ったはいいけど……手を離したくない。

「か、課長……?」

 私の行動に、大樹クンが困ってしまっているのが分かる、分かるけど……気持ちを抑え切れない。
 言葉も出せない、でも……少しでも良いから、大樹クンに私の気持ちを伝えたい。

 そんな私が取った行動。

 手を掴んだまま――大樹クンの身体を引き寄せて……ギュッと抱き締めた。
 私の気持ちを知られてしまうかも。
 そう思ったけど……それで良いか、と思う。
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