28才の初恋

2-9

「あ! タクシー来ましたよ!」

 う……!!
 こんな時にタイミングの悪い……。

 滝のような血の涙をこらえつつ、悔しい気持ちイッパイで瞳を開けた。
 タクシーが並んで二台、タクシー乗り場に侵入してきていた。

「さ、立てますか?」

 大樹クンが先にベンチから立ち上がり、私に向かって手を差し伸べながら言う。
 本当は……酔いも醒めてきて平気になってきていたのだけど……この場は彼の好意に甘えて、そっと彼の手を掴んだ。

 大樹クンの手は暖かくて、出来ればこのままずっと握っていたい気持ちになる……。
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