28才の初恋
 それは私には衝撃的な一言で……あっさりと集中力が切れてしまった。
 いや、強引に切られてしまった、といった方が正確だろうか。

「課長ぉ、そんなに私と池田くんが気になるんですかぁ?」

 ちょ!このスポ根の状況でそれを持ち出すのは卑怯……って!いつの間にかすごいギャラリーが来てるし!!
 ウチの会社の人間は居ないみたいだけど、こんな衆人環視の中で卓球をやれってか!?
 心の中で激しくツッコミを入れた間隙を突くように――。

 『コンッ』

 って、あれれ?いきなり小島が球を軽く打ち出した。
 私がオロオロしてる間に……球が私の方に。
 早く拾わなきゃ……と思うより早く。

 『コン……コンコン』
 
 球は二回目のバウンドをしてしまう。
 唖然とその様子を見つめるしかできない私に、

「私の勝ちですねぇ。ふっふっふ……課長に勝っちゃったぁ」

 そう言い放ちながら小島がその場でピョンピョン跳ねている。

――ひ、卑怯だぞ!!

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