28才の初恋
 酒は飲みすぎると理性が飛ぶ。

 つまり、普段ならば理性が邪魔をして言えないようなことまで、酒を飲んで酔っている状態であれば簡単に話してしまう。
 これは第一次世界大戦の頃から使用されているような由緒正しい方法なのだ……良い子はマネしちゃだめだぞ!!

 現在の大樹クンの酔い方は、意識を失ってはいないが、酒によって自我というものが薄れている。

……つまり、これは『頃合』というヤツだ。

 今の大樹クンならば、何を聞かれてもサラっと答えてしまうことだろう。
 だが、迂闊なことは聞けない。
 どんな事でも答えるということは、普段ならば秘密にしているようなプライベートなことまで喋ってしまう、ということ。

 普段の大樹クンなら答えてくれないようなことを聞きだしたい、というだけで弱味を握りたいわけでは無いのだ。
 質問は慎重に考えて行わなければいけない。

――さて、何から聞くか?
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