28才の初恋
 小島は昨夜の金縛りにメゲることもなく、早々に起き出してバッチリと化粧を整えている。この辺りは、同じ女としては見習うべきかもしれない。

 私は小島に遅れること三十分後に起床。
 一応、どこで大樹クンと顔を合わせるか分からないのでファンデーションだけを施して朝食を食べるために大広間に向かった。

 大広間に整えられた朝食は、白いご飯に焼鮭、生卵、湯葉の味噌汁、ホウレン草のおひたし、香の物と私好みの和風朝食である。
 この中にすき焼きでも入っていれば、私としては濃さのバランスが摂れていて最高なのだが――旅先で贅沢は言えない。
 美味しく朝食をいただく。

 朝に弱い人間も居て、大広間には全員が集合しているわけではない。
 その集合していない人間の中には――大樹クンも居ない。

 恥ずかしいので顔を合わせずにホッとした部分を、お詫びをする機会を逃して残念なような気分と半々といった感じである。
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