28才の初恋
「来て……くれた?」

 大樹クンに問いかけるわけではなく。
 自分の見ている光景が、まだ信じられなくて。そんな言葉が口から出ていた。

「探しましたよ、電話……ハァ……出て……ハァ……くれないから」

 大樹クンは汗を流し、息を切らせている。
 信じられないが……私を探して走り回ってくれたのだろうか?

 慌ててカバンの中から携帯を探して、取り出すディスプレイを開くと、大量の着信が記録されている。

『着信:22件 メール:12件』

 これが全て、大樹クンの送ってくれたものなのだろうか?
 いや、今の大樹クンの姿を見れば――どれだけ大樹クンが私に連絡を取ろうとしていてくれたのか――疑う余地もない。

――奇跡は……起こった!
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