28才の初恋
 タイミングが悪いとはこの事だろうか。
 もう少し顔を上げるタイミングが早ければ外回りに出て、片時とはいえ離れてしまう大樹クンの顔を見ておくことが出来たというのに……。

 軽くヘコんでしまいそうだ。
 大樹クンの顔を見ることが出来ないわ、残業が確定してしまうほどの仕事がデスクの上にはあるわで。
 
 少しヤル気を失いつつ、再びデスクに向かう。
 目の前にある大量のメールと書類の山。
 エネルギーの充填も叶わないまま、この仕事と対峙しなければいけないわけか……。

 心の中で愚痴をこぼしても仕事の量が減ってくれるわけもない、仕方なしに目の前の書類から片付け始める……ふう。
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