君と星空の彼方
「…………ごめんね」



私は蛇にしか届かないであろう小さな声でつぶやく。


そして、私と蛇の間に真っ白な光の壁が現れて


蛇がその中へと吸い込まれ、光と同時に消えた。






キマイラはもう、キマイラと呼べない。

だって、尻尾がなくなったから。


私は目線をキマイラへと移すと、右手を上げて、手に現れた光のサークルを投げつけた。

サークルは、まるでフリスビーのような形。


右手に急に現れても、別に驚きはしなかった。


サークルはすぐキマイラのところへ飛んで行って…


獅子の顔を横殴りするかのように、思いっきり当たる…!

そして、

キマイラは叫ぶ間も無く、円盤とともに消えてしまった。


…………もう、

部屋にキマイラはいない。





……熱い…!

体が、熱い!


けど何かを受け入れてるような…変な感じ。



『覚醒』の2文字がふっと頭に浮かぶ。


もしかして私……覚醒した?


両手をグーパーグーパーしてみるけど、異常なし。ただ、体が熱いだけ…じゃないっ!


「髪の毛、が……」


肩より少し下ぐらいの私の髪の毛は、THE日本人で真っ黒だった。

それがどうだ、今は腰までの長さで真っ白⁉︎


白髪とはちょっと違う…なんというか、少し品があるっていうの?心なしか光ってるし。



「ホシノっ‼︎大丈夫〜?」


「ミズキ……」



ミズキがブンブン手を振りながら私のところへやって来る。

覚醒した時のままの姿だけど、表情や行動はいつものミズキで。




「……うん、大丈夫!」


大丈夫じゃないかもしれないけど、私はそう言って笑った。


心に、なんとも言い表せない喜びとワクワク感を宿わせて。


< 142 / 475 >

この作品をシェア

pagetop