君と星空の彼方

セイヤside

腕の中のホシノがちゃんと眠ったのを確認した後も、俺は動けなかった。




しばらくホシノを抱き寄せていたい、そんな思いが勝ってしまって。



俺は1人、眠ったホシノを抱きしめていた。




俺があの人にあったのは、家から出されて、周りの家の人から煙たがられながら逃げ込んだ路地裏。

そこにいて飲まず食わずで3日目。


『ボウヤ、どうしたの』


最初は奴隷になるんだと思った。


『…しばらく眠ってて』


そう言われた俺は、目が覚めた時には日本にいた。


そこのどこかは今でも知らない、小さなアパートの一室で


俺は昼間と深夜限定でその人に育て上げられた。



今思えば、彼女が教えてくれた知識は『人間として当たり前のこと』。

キナリと日本は違うところがいくつもある、日本の文化を俺がまだ小さい時に教えてくれた。



7歳になるとまた引っ越して、夜月とミズキに出会って、小学校に通わされた。



その年の春から、年に1度か2度しか会いに来れない。そう言われて。


受け入れられなかった、泣いた、あばれた。



けど…そこで助けてくれたのは夜月とミズキの家の人。


家族同然とでも言うように優しく育ててもらった。


12歳ごろから、もう頼れない…そう思って、


近くに住むのは変わらなかったけど、ほぼ1人暮らしを始めた。




もうその時には、彼女が普通の母親だってことぐらい分かってたから。



育ての親である彼女の『本当の子供』に嫉妬はしたけど…



我慢した。






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