君と星空の彼方
幻獣の一族は変わっていて、族長と言われる人がいた。


族長の家は代々とても強い幻獣を従えられる、数少ない、とても強い力を持つ幻獣使いだった。


その娘だと、昔聞いた時はびっくりした。


幻獣『フェニックス』を見せてもらった時も、ひどく興奮した。


とても強いということは分かっていたし、それなのになぜ人間界の方にいるのか分からなかった。



彼女は俺の質問に切なげに笑って答えてくれた。


『フェニックスはエジプト神話の幻獣。

ギリシア神話の幻獣を従える方が強いとされた私の一族には、受け入れが難しかったの。


それに…ーー』



俺は、彼女の次に言葉にとても驚いた。




『私には愛する人ができたから』




族長の娘ともなれば政略結婚は当たり前。



それなのに人間界で子供を育てる彼女。


愛する人は…幻獣の一族じゃなかったのか?



俺はもっと色々聞きたかったけれど…『時間だから、ごめんね』と。優しい笑顔を残し彼女はフェニックスに乗って学園を後にした。




その優しい笑顔は、普通じゃない…母親の笑顔っぽくて、


俺は腑に落ちない部分も多かったけど、嬉しかった。







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