気づけばキミと恋に落ちて
「それって、店長さん。はるちゃんに気があるんだよ」
「はい?」
「だから、その洋服買ってくれたのも、〝はるちゃんだから〟でしょ。普通、ただの客にそこまでのことしないって」
「でもっ、」
「次、はるちゃんに会うための口実だって」


口実……そうかもしれないよ、普通は。


でもあの人の場合は、ただの〝オンナ好き〟なだけだよ。


あんな見ただけで、胸の大きさわかるとか、相当遊んでなきゃわかんないでしょ。


ただ、ヤりたいだけだよ。ゼッタイ、そう。


「まぁ、でも。はるちゃんに気がないなら、連絡しなくてもいいと思うよ。期待させるだけさせて、ムリですってのはかわいそうだからな」


そっか、そうだよね。こっちに気がないのに、連絡して気があると思われるのは相手も傷付くだけ。


なら、答えはカンタンじゃん。やっぱりあの名刺は捨てる‼︎


よし、決めた。


「でも、ココに捨ててくのはダメだぞ」
「え、なんで?」
「なんで、って。それを店長さんが万が一見つけたらショックだろ。反対の立場になって考えてみなよ」


< 142 / 380 >

この作品をシェア

pagetop