気づけばキミと恋に落ちて
こうやって、わたしの降りる駅で降りて送ってくれてるわけだし…。


「なんか、怒ってね?なした?」
「……べつに、怒ってなんかいません。これがわたしですし」


なに、わたしイライラしてるのっ。


完全に怒ってるじゃない、この声…。


自分でも、わかる。そんなわたしが速く歩くから、すぐにアパートが見えてきた。


「お忙しいのに、ここまで送っていただき、ありがとうございました。じゃあ、さようなら」


そう言って手を離そうとしても、拓篤はジッとわたしを見つめ手を離してくれない。


「なぁ。なに、ツンツンしてんだよ」
「べつに、ツンツンなんかしてませんっ」
「なに言ってんだよ。してんじゃ……あ、陽美。お前、見たろ。オレの携帯」
「……っ、なんの話?意味わかんないっ」


バレたっ…。ここにきて、バレるなんてっ。


勘、よすぎんのよ拓篤はっ。早くこの場から去りたい‼︎って、思うのに、ニヤついた拓篤がわたしの顔を覗き込んでくるっ。


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