気づけばキミと恋に落ちて
って、わたしやっぱり拓篤のこと、メチャクチャ気になってる…。


でも〝彼女はいない〟って、言ってたよね?


じゃあ、ただの友達かな…。


「オレが送るつってんだ。素直に聞いとけよ」
「……っ」


そういう言葉って、ズルイ。そんなこと言われたら、断れないじゃない…。


結局、手を繋いだまま駅に向かい電車に乗る。


なんかもう早く家に帰りたくて、電車に乗ってる間もほとんど無言。


降りて家に向かう時は、わたしの歩くスピードが自然と速くなる。


「なぁ、陽美。歩くの速くね?」
「……そんなことないよ。これが、わたしの歩くスピードだし」


〝早く帰りたいから〟なんて、言えるワケがない。


< 192 / 380 >

この作品をシェア

pagetop