気づけばキミと恋に落ちて
ゴハンとお味噌汁をよそい、向かい合わせに座ると、目の前にあるオカズたちに手を付けていく。


と、言ってもバクバク食べてるのは、陽ちゃんのほうで、わたしはほとんど食べてない。


作ることに満足したのもあるし、作り終わるとイロイロ思い出しちゃったから…。


「はる、作りすぎ」
「ご、ごめん…」
「まあ、いいや。明日も食べれるから」
「うん…。そうしてもらえると、助かります…」


作った量は、二人分の量ではなかった。


しかも、わたしがほとんど食べてないのだから、そりゃガッパリ残るに決まってる。


「あーぁ。はるの傷付く姿、見たくなかったのになぁ」


よほどお腹いっぱい食べたのか、少し膨らんだお腹をポンポン、としながら陽ちゃんは言う。


「なに言って…。わたし、傷付いてなんか、」
「ホントに?ホントに、なにもない?会社の人とも、電車で出会ったオトコとも。なーんにも、ないんだな?」
「………」


陽ちゃんの目は、まっすぐわたしを捉えていて、なにも言い返せなかった。


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