気づけばキミと恋に落ちて
「まったく…。はるは、ウソつけないんだから。だったら、最初から言ったほうが楽だろ」
「陽ちゃん……」
「はいはい、なんですか?陽美お姉ちゃん?」


わたしの顔を覗き込んで、フワリと笑う顔。


弟だから、ドキリともしないけど。


でも、こんなことを拓篤にされたら、わたし息止まるな…。


「……っ、」
「はる?」


拓篤のことを考えたら、胸が苦しくなって、グッと込み上げてきたモノが一気に瞳から零れ落ちる。


異変に気付いた陽ちゃんに、顔を覗かれようが、優しい声をかけられようが、一度出た涙はなかなか止まらない。


〝オレのことスキになってよ〟って言ったくせに、いざ告白したら、なにも言えなくなるほど言葉に詰まるとか、ホント冗談言う相手間違ってるよね。


きっとあの〝大切〟って言った発言だって、あの場を乗り切るためのウソだったんだよ。


「……ふふっ、」


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