気づけばキミと恋に落ちて
ケトルを持ったまま、宗ちゃんを見上げる。


「この前は、あんなことして、ごめん…」
「あ……」


しばし、沈黙の時間がわたしの心を乱す。


どうしよう、なんて言ったらいいの?


〝大丈夫です〟は、チガウ気がするし。


マジメに返すべき?それとも、笑って流すべき?


「あー…と。無事、帰れた?」
「え?あ、はい。大丈夫…でした」


拓篤のことは、言わなくていいよね?


まさか〝偶然声をかけられた人に送ってもらった〟なんて、ね。


「そう、よかった。心配してたんだ」
「えっと…ご迷惑をおかけしました…」
「いや。おかげで、はるちゃんとまた二人になれて、よかったしね」
「へっ⁉︎」


< 93 / 380 >

この作品をシェア

pagetop