~Special Short Story~



「じゃあ、花音こそいつから俺のこと……気になってたんだよ」


「あたし?あたしは去年の文化祭!」


き、去年って……結構最近。


「転校したあたしの友達に告られたの覚えてない?」


「あーまぁ」


去年の文化祭。たしか模擬店が終わった直後に、女から呼び出されて……そういう話を受けた気がする。


「あの時さ、その子が陽の話する度に、ムカムカっていうかイライラっていうの?とにかくいい気がしなくて」


ゴミ捨て場についた俺達は、扉を開けて3つのゴミを捨てる。


「陽を誰かに取られちゃうのが嫌だって思ったの」


「……おもちゃを取られた子どもかよ、お前は」


「それでも、本当に嫌だったんだもん。告白してフラれたって聞いて、正直ホッとした。陽がそのこと付き合わなくてよかったって思ったもん」


となりを歩く花音をチラ見すると、少し視線を落として照れ笑いしてる。


あーそういうの反則。


余計可愛く見える。


……絶対言わねーけど。



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