ココロトタマシイ

生きている証-美麗Side-

「南くん!!南くん…っ!!!」


知り合いらしき男の人の腕のなかで。

力なく瞼を閉じた南くんを揺すると。


「じょっ、嬢ちゃん。心配なのは分かるけど怪我人揺すっちゃだめだろ」


優しく腕を掴まれて、やんわりと止められた。


「あ……す、すみません」


慌てて両手を膝の上に乗せて、俯くと。

ぽんぽんと頭を叩かれて、もう一度顔を上げた。


「大丈夫だって。
こいつは俺が責任持って医者に連れてくからさ」


な?と向けられた微笑みは、なぜかすごく安心できて。

私もつられて微笑んだ。


「はい……」


「さて、早くここから出ないとだな」


彼は南くんをおぶると、空を見上げながら言った。

そして何かぶつぶつと言いながら銃を何発か撃つと。

目の前がぐにゃりと歪んで、亀裂が入る。


「さぁ、掴まって」


差し出された手に戸惑いながらも自分の手を重ねると。

ひょいと抱き寄せられた。


「きゃっ!」


「はぐれたら大変だからな。しっかり掴まってろよ」


そう言うと、私をぎゅっと抱き締めながら亀裂に飛び込んだ。

亀裂の中は灰色と白と黒が混ざり合わないマーブル模様みたいな感じで。

小さな光や大きな光が様々な色を持って、たくさん漂っていた。

それらからはたくさんの感情が勝手にながれ込んできて、頭が痛くなる。

思わず頭を抑えると、彼が心配そうに覗き込んできた。


「大丈夫か?
もう着くからな、頑張れ」


「はい……」


「ほら、着いたぞ!」


その言葉を聞いて前を見ると、一番大きな光があった。

その中に吸い寄せられるように入って。

目を開けると、見知らぬ公園に立っていた。


「じゃあな嬢ちゃん。
こいつは俺が病院に連れてくから、気をつけて帰れよ!!」


「あ…待ってください!」


南くんを抱えたまま走りだそうとする彼の腕を掴んで。

無理を承知で頼んでみる。


「私も…私も連れていってください!!」


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