ココロトタマシイ

赤髪の少女-美麗Side-


よく晴れた青空の下、私はさまよっていた。

全く知らない町並み。

全く知らない人たち。

手に住所の書かれた紙を持ってはいるものの…方向音痴の私にはもはやただの紙くずとなっていた。


「ここ…どこ?」


苦笑いを浮かべながら辺りを見回しても、目の前には大きな道路と、横にはビルばかり。

道を尋ねようにも、辺りの人は日曜なのにも関わらず、せわしなく歩いているため、声がかけづらい。

…どうしよ…。


「あの…」

さっきから何度も同じところをぐるぐると歩き続けていると、背後からふいに声がした。

そっと振り向けば、目の前にはミディアムよりも少し短めの赤い髪をした女の子。

年は同じくらいだろうか、女の子の割りに動きやすそうなパンツルックの彼女は、優しく微笑みながら再び言葉を発する。


「何かお困りですか?
さっきからここ、何回も通ってますよね?」


まさに一言で言うなら、神様。

今まで誰一人として声をかけてくれなかったのに対して、この娘はまさに私にとっての神様だ。


「あの、実は、この病院を探してるんですけど…道が分からなくて……」


「あぁ…ここなら、すぐ裏ですよ。
そこを左に曲がって、まっすぐ行くと看板のついた駐車場があると思うんで、そこをぐるっと一周すれば正面です」


「あ、ありがとうございます!!」


指で道を指し示しながら教えてくれる彼女に、頭を下げてお礼を言うと、


「いえ、それじゃあ」


と言って、人ごみに紛れてしまった。

あんないい人もいるんだなぁ。

そんなことを考えながら、言われた通りの道を進む。

そこであることに気がついた。


「あ!お見舞いに来たのに、お見舞いの品忘れてた!」


そうして私は自分の間抜けな行為に呆れながらも再び来た道を引き返したのだった。




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