ココロトタマシイ
能力(チカラ)-南Side-
彼女が出ていってから、少しの沈黙が流れる。
あ…そういえば、また名前聞きそびれた。
何だったかな……。
佐々木…いや、佐伯?
うーん……。
窓の外を眺めながら、あれこれと考えていると
美雪が唐突に声をかけてきた。
「……ねぇ、
…あの子とどういう関係?」
少し間が空いたその言葉に振り向けば、
真剣な目をした美雪がこちらを見つめていた。
「どうしたんだよ、いきなり」
「いいから答えて!」
美雪がこんなに突っかかってくるなんて珍しいな…。
僕はいつもと違う彼女に驚きつつ、本当のことを話す。
「…あいつも能力者だよ」
「え…あの子も?」
「あぁ……魂を狩っているところを見られた。
それで口封じしようとしたらこのざまさ」
僕は自嘲気味に笑うと肩をすくめた。
それに対して美雪は眉をひそめる。
「もしかして、その怪我…あの子が?」
「いや、これは単に別次元の敵にやられただけ。
…そもそも、怪我させた張本人が見舞いなんてくるわけないだろ」
「あ…それもそうだね」
彼女は少し照れたように笑うと、軽く俯いた。
――それにしても
あいつの能力は一体何なんだ?
『感情が分かる』
たしかそんなことを言っていたような気がする。
…感情か。
一体彼女にどうやって伝わっているのだろう。
あの時の光と何か関係があるのだろうか。
僕はあの時のことを頭で再生してみる。