ココロトタマシイ
南くんの射抜くような瞳に圧倒される。
早くこの場から立ち去らなければいけない。
早く……。
―――止マレ―――
「っ…!」
頭に一瞬の痛みが走る。
思わず頭を抱えようとして、はっとした。
身体が…動かない………。
私の異変に気が付いたのか、南くんは訝しげにこちらを見ると、
小さく息を吐いた。
「…どういうつもりだ、あんり」
彼が低い声を出すと、茂みからガサガサと少女が姿を現す。
ついこの間会ったばかりの、可愛らしい女の子。
長い桜色の髪に、ぱっちりとした大きな瞳。
まるでお人形のように整った容姿は、
いい具合に若干のあどけなさを残していた。
「だってこの人、この間殺し損ねた人でしょー?
今度こそ仕留めなくっちゃと思って、気を利かせてあげたつもりなんだけどなぁ」
「余計なお世話だ。
それに、今は殺さない」
だから、能力(チカラ)を解け。
そう言う南くんに、彼女は不満げに頬を膨らませ、抗議の声を上げる。
「えー何で何でぇー?
魂集めてるところ見られちゃったのにぃ?」
「何でもだ。早くしろ」