水に消えた涙 ~貴方がいてくれたから~
こんな事が始まったのも、2週間ほどに遡る。
私は、国立高校に通う16歳。なんも変哲もない、楽しい高校生活を過ごしていた。

「みーずき!」

廊下を全速力で走ってくる男子が一名。

「なんだ、裕貴か。」

一ノ瀬 裕貴。私の彼氏だ。

「なんだってなんだよぉ!せっかくお昼一緒に食べようと思って、先生の手伝い急いで終わらせてきたのに!」

「なーんてね!嘘だようーそ!もう、裕貴はからかうと面白いんだからぁ♪」

私は、無邪気な笑顔を裕貴に向けた。

「え!そうなの?なぁんだ!良かったぁ」

この通りバカップルな私達。周りの目が痛いんじゃないかって?その心配はない。バカップルすぎて、見ていて愛くるしさ、まで感じるらしい。あとは、諦められているか。

「早く購買行こう!ジャムパン無くなっちゃう!」

裕貴が私の手を引く。

「わっ!ちょっと待ってよぉ!」

この先、あんな事になるなんて、この時の私は知るよしもなかった。
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