生徒だけど寮母やります!⁑



「あ、ライ。ライは何に出るんだっけ」

ダルそうに横に座るライは、女子からの視線を集めてさらに神経をピリピリとさせている


「騎馬」

短くそう呟いた彼に鈴菜は


「一緒やな。頑張ろな」

と、景の横に座るライを覗き込むように微笑んだ


ライと鈴菜が会話するのを見るのは久しぶりだ

ライはチラリと鈴菜を見ると、数秒黙ったのちに「あぁ」と返事をした



「そういえば景ちゃん」

「ん?」

「景ちゃんって、小さい頃はこの学校の寮のお手伝いしてたんでしょう?」

「うん」

柊の質問に、景が首をかしげる

「じゃあもしかして、そのころ生徒さんの中には.....」


あぁ、なるほど

景は質問の意を理解すると

「いたよ、水穂先生」

とニコリと笑った


「へぇ.....」

「わぁあ!」

「おー!やっぱいたんや。マナちゃんは?」

「斎藤先生は.....いたんだろうけど女子寮だからなぁ。私、ほとんど男子寮のお手伝いだったから、覚えてないや」


そう言って首を振ると、柊が目を輝かせ「それで、水穂先生ってどんな生徒さんだったの?」と尋ねてきた


「そうだなぁ.....」

意外とライにも興味を持ったような目で見られ、景は苦笑いする


「そういえば、右足を骨折したかなんかで、大変だから食事をお部屋まで届けてた時期があったかな」

「そうなんや」


景はそのころのことを思い出しながら、水穂先生のことを思い出した


「少なくとも今みたいに温和で、幼稚園の先生みたいな優しい喋り方はしなかったかも」

「おーー!!」

「そうなの!?」

「所詮あいつは肉食のケルピー(水棲馬)だからな」


ケルピーを小馬鹿にしたような言い方のライの背中をパシッと叩くと、景は自分のこめかみをグリグリと拳で押した


「でもーーそれ以上は思い出せないー」

「あー、まぁ小さいころだもんね」

「んー」

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