生徒だけど寮母やります!⁑




結斗に、抱きしめられている.....!?

顔は彼の胸にすっぽりと収まり、景は呼吸を止めた


なっ、なん、何!?

いいことってコレ!?


香水か、制汗剤の香りか

彼の爽やかな良い香りが鼻をくすぐって、景は思わず顔を赤くする


そんな彼女をしっかりとたくましい腕で抱き、彼は耳元で囁く

「ちょっと飛ぶよ」

「へっ?」

と、飛ぶ?

直後、結斗は景を抱えたまま高く飛び上がり

近くにあった木の上へと飛び上のった


まるで、夏祭りのあの時のように


「うわぁぁあっ」


ガサガサッ

着地と同時に木の枝は揺れ、葉は音を立てこすれ合う

動いたら木から落ちるかも!!

景は冷や汗を垂らし、結斗にガッチリとつかまりながら恐る恐る彼を見ると、彼は満足そうな顔で景を見た


「景ちゃん。向こう、見てごらん」

「向こう?..........わ、わぁぁっ!」


結斗が促す視線の先

そこに見えたのは、熱い騎馬戦が繰り広げられるグラウンドだった


「凄い!グラウンドの全体が見渡せる!なんか特等席だね!」

「でしょ?しかも葉が茂ってるおかげで日に当たらなくて済むしね」

「確かに!」


景は興奮気味に頷くと、広いグラウンドを上から見渡し目を輝かせた


戦っている鈴菜とライも、小さいけれどしっかり見える


最初は何事かと思ったけれど

こういうことだったんだね.....


「ありがとう!結斗」

景はしっかり自分をホールドする結斗を振り向いて、礼をする


「どういたしまして。喜んでもらえて嬉しいよ」

結斗はそう言って、はしゃぐ景の後頭部に軽く口つけた
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