生徒だけど寮母やります!⁑


本当のお母さんに会ったことがない


身近な誰かをある日突然失う悲しみは
体験したことがないわけじゃない



じゃあ、大切な人がもともといない淋しさはどうだろうか


あ、でも、
火属性のお母さんがいるんだっけ



ライはその人から、ちゃんと愛をもらったのだろうか



でも、このライの優しさは、そこから来ている気がする




「ライ、話してくれてありがとう」


私はライを見つめてお礼を言った

ライも私の方を見る



「偉そうに言えないけど、辛かったでしょう?多分ライのことだし、耐えてたんだろうなと思うよ

......何も役に立てないけど、美味しいものつくるし、楽しい話するし!ここでの生活が楽しくなるように私頑張るから......私のことも、たよってね」


「ああ」


ライが微笑んだ


私が立ち上がるのを見て、ライも立ち上がる



私はドアノブに手を掛けたまま、後ろを振り向いて言った



「さっき、言ってたじゃん、この寮に入ったのもそのせいだろうって

じゃあ私は、ライが雷属性であることに感謝しないといけないね」



私がにこり笑ってそう言うと


ライはしばらく私を見つめた

< 36 / 388 >

この作品をシェア

pagetop