生徒だけど寮母やります!⁑



まぁ、その通りなんだけど.....


蹴らなくたっていいんじゃないかな


............痛いなぁ



「確かに、野良犬とは言いきれないね」


「何されるか分からないわよ凪、その手を離しなさい」


「あ......うん」


えっ.....

嘘でしょ?


凪は私を言われるがままに床に降ろした


うぅっ..........

床に足をつくその衝撃も、怪我をしている足にはかなりの大きさ


「そ、そうだよね。これが何かの使い魔だったりしたら、私たちの話を聞かれてたことになるんだから」


「う、うん。確かに、このまま庭に返すわけにもいかないね」


.....え.....それはマズイ


そしたら私、次の授業不在になっちゃうよ......

寮母の仕事だってやらなきゃいけないのに......


それを考えただけで、蹴られた身体に限らず頭までもが痛くなる


「ねぇ、どうすんのこの犬」


「とりあえずどっかに閉じ込めておかなくちゃ」


.....そんな!?


その言葉に、私は背筋を凍らせる


ああもう最悪.....!


するとそこに足音が近づいてきて、別の影が現れた



「それは酷いなぁ」


それは、聞き覚えのある優しい声


あ............



「結斗くん!?」


そこに腕を組みながら微笑んで立っていたのは

結斗だった



「えっ............誰......」


「結斗くんよ、5組のリヨが言ってたじゃない」


「あ......あの結斗くん?」


「俺のこと、知ってるの?」


結斗は彼女たちににこりと微笑んで言う



「し、知ってます!友達から聞いていました」


「5組に王子様みたいな人がいるって」


「すごくかっこいいって」


「それは嬉しいな」


彼の言葉に、女子たちがわあわあと盛り上がる

分かってはいたけどすごいなぁ.....

結斗の人気.....


てか......私、忘れられてるような



結斗は私を見て言った


「それでね、その子、俺のこなんだ」

それは違う


「結斗くんの?」


「うん?そう」


「使い魔......?」


「使い魔なんて、こんな可愛い子を使役するなんてとんでもない」


「思ったぁ!すっごく可愛いよねっ」


「私も思った!」


いや、思ってないよね!?


女子たちがきゃっきゃと盛り上がっているのを、私は複雑な気持ちで見つめていた

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