コミュニケーション
妄想に耽って、周りを見ていなかったのが悪かった。

ドンッ!

「きゃっ!」

肩がぶつかったのと同時に、あたしの手からコミック本が落ちた。

「イタタ…」

しゃがんでコミック本を拾おうとしたあたしに、
「悪ィ、大丈夫か?」

低い声と同時に、それがあたしの前に差し出された。

「あっ、ありがとうございます」

コミック本を受け取り、拾ってくれた当人に視線を向けた。

わっ、背が高いな。

180以上はあるんじゃないかと思いながら見あげたら、ブラウングレーの瞳と目があった。

うわあ、キレイな瞳…。

癖のある黒髪と彫りの深い顔立ちは、まるで異国の王子様のようだ。
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