コミュニケーション
ドキッ…と、あたしの心臓が鳴る。

ああ、これが少女マンガでよくある、人が恋に落ちた音なんだ…。

目の前の彼の顔を見ながら、あたしは頭の中でそんなことを思った。

「おい」

そう思っていたら、彼の唇から低い声がこぼれ落ちた。

「えっ、はい」

反射的に返事をしたあたしに、
「俺の顔に何かついてるのか?」

彼が質問してきた。

「いっ、いえ、ついていないです…」

あたしは首を横に振って答えた。

「だったら人の顔を珍しそうに見つめるな。

何事かと思うだろうが」

彼は毒づくように答えると、息を吐いた。
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