calling
001
私の方が好きだった。…ずっと。

好きになると一緒に居たくて
好きなひとに逢いに行きたくて
大事に大事に想いを育てて

ずっとそういう恋をしていた。
静かに微笑む男性のことをいつも
気がついたら好きになっていた。

出逢いなんて、溢れている。

仕事が嫌になって…
嫌で嫌で泣きそうな時に
制服を着たままランチに出かけて
帰りたくなくなって…

キラキラ輝く太陽の下で
ベンチと呼ばれる場所で
公園でヒトリで居た時だった。

私と同じようにサボってる男性が
私と同じように公園に居た。

「会社、戻らなくていいのか?」

背が高くてスーツを着た男性に
声をかけられて驚いたけれど

涙が出ないように気をつけて
静かに男性をみた。

「戻りたくない時もあるんです。」

「でも…困るだろう。」
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