calling
011
静かな時間が流れても
ずっとこのままで居れたら
いいのかもしれないと
思って静かにベンチに座っていた。

「ごめんね…って…
…言われたんだ。」

静かに話しだしてくれる
俊輔さんの声は
相変わらず優しかった。

誰に、という言葉が抜けていても
時間経過が分からなくても
俊輔さんの恋人のことだって
分かった。

だから、きっとずっと…
ひとりでいろいろ考えていたから
少し痩せたの?

私は大判のストールが
ただ肩からかかってる状態でも
そのままで話を聞いていた。

「ずっと泣かれたよ。
ずっと…。

恋人が他の男性と…
しかも同じ会社の同期の男性と
キスをしていた。」

まるで私に話してるのではなく
私が居ることも忘れて
独り言のように聞こえていた。
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