僕らのはなし。①


試合の前日…私は緊張やら不安やらで、公園でブランコに揺られながら、ボーッとしていた。


「お前、こんな時間に何してんだ?」
急に目の前に誰かの脚が見え、頭上からそう声がかかった。

「ん?」
「時間考えろよ。
危ないだろ。」
顔をあげると伊崎が呆れたような顔で見下ろしていた。

「あんた、何やってんの?」
「俺は別に。
お前は?」
「私は…何だろう?
考え事??」
「お前は。
星野、何で時雨だったんだ?」
伊崎が言葉を途中でとめて、少し黙った後辛そうにそう言った。

「他の奴だったら。」
「伊崎。」
「星野…1回で良い。
俺の事好きだって言えよ。
そしたら、戦わなくて良い。
全て水に流してやる。」
伊崎は私を引き寄せ、懇願するようにそう言った。


「伊崎…ごめん。
でも、出来ない。
ごめんね。」
私は伊崎を引き離し、そう告げた。


ホントは少し抱き締め返せたらって思った。

でも、今先輩は私の為に必死で伊崎と勝負してくれてる。
皆、小さい頃からの友達なのに、仲違いしても守ってくれようとしてる。

そんな人を裏切る事なんて出来なかった。


「分かった。
なら、手加減はしない。
徹底的にやってやる。」
「うん。
覚悟してる。」
「じゃあな。」
「うん。」
伊崎は帰っていった。

私はその場にしゃがみこんだ。


後悔しない。
絶対に。

涙が出そうになったけど、絶対流さなかった。





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