僕らのはなし。①
「そうそう。
初心者にしてはうまいと思うよ。」
「昨日、大分スパルタだったから。」
「その甲斐があったんじゃない??」
「そうかな??」
そう話しながら、今日は柚瑠にストックを持ってもらいながら引っ張ってもらいながら滑っていた。
確かに昨日のお陰で大分安定したみたい。
「あっ、」
そう安心したもつかの間、滑ってしまった。
「大丈夫?」
「うん。
柚瑠先行ってて。」
「平気?」
「うん。
もう少し自主練やってみる。」
「じゃあ先行ってるね。」
「うん。」
そう言って柚瑠はスムーズに滑り出した。
「よい…しょ。」
「きゃっ!!」
「ごめんなさい。」
私はそれを見届けると、立とうとしたんだけど、誰かに後ろからぶつかってこられてまた倒れてしまった。
「えっ、あ…何とか大丈夫だと思います。」
「ホントにごめんなさいね。」
「ケガなかった?
…あれ?星野さん??」
「えっ、」
そう言われて見てみると、何度か学校で見た事ある女の人が2人私を見ながら驚いた顔をしていた。
確か…伊崎達の事よく見てる3人グループの2人?
先輩だよね。
「ホントに大丈夫。」
「ごめんね。」
そう言いながら腕を引いて立たせてくれた。
「大丈夫みたいです。」
「そう…良かった。」
「偶然ね。」
「私達、近くの別荘にちょうど泊まりに来てて遊んでたの。」
「星野さんは?」
「私は…。」
「あぁ…伊崎様達と?」
「えぇ…まぁ。」
「そう。
楽しんでね。」
「じゃあね。」
そう言って、2人は去っていった。
伊崎の事を様付けで呼んでるのに、一緒に旅行に来たって聞いて何も言わなかった事は引っ掛かったけど、そこまで気にもとめてなかった。
「湊ー!
大丈夫ー??」
「うん。」
そうしていると、さすがに私が遅かったからか止まったらしい柚瑠がこっちを向いてはそう聞いてきた。
私が頷いた時、結構なスピードを出したスキーヤーが私の視線を横切っていった。
「柚瑠!!」
それは滑りながら徐々に柚瑠の方に向かってて…咄嗟に大声で呼んだけど、柚瑠は動けないみたいで顔を伏せた。
「柚瑠!逃げて!!
…えっ。」
どう考えてももう間に合わないって時、そう叫んだものの見てられなくて目をつむった。
ゆっくり目を開いてみてみると、そのスキーヤーは柚瑠に当たる事なく走り去ったらしく、結構遠くを滑っていた。
柚瑠はというと…何故か四宮さんが覆い被さって倒れていた。
すぐ四宮さんは起き上がると、少し慌てたように柚瑠を少し揺らしながら声をかけていた。
初めてそんな四宮さんの必死な顔を見たのでこっちが呆然としてしまった。