僕らのはなし。①
「すいません。
こんな事までしていただいて…。」
あの後、この客室が葉月さんの部屋だと分かった。
シャワーを貸してくれて、私の着ていたワンピースがビショビショで着れなくて代わりに渡されたのは、凄いキラキラした綺麗な白のミニドレス。
腰の部分がキュッと絞られていて、繋がったスカート部分はフワフワとしたデザインのものだった。
渋る私に笑顔で着せてくれ、今はメイクまでしてくれているので、流石に申し訳なくてそう言った。
「ううん、私がしたくてしてるんだから気にしないで。」
髪を巻いたり後れ毛だけ残してまとめてアレンジしてくれたり、メイクをしてくれながら、綺麗な笑顔でそう言う葉月さん。
やっぱり彼女は私が憧れていた女性で、実物をこんな近くで見ると、女の私でもドキドキするくらい凄い綺麗な人だった。
「でも…やっぱり来るべきじゃなかったんです。」
「時雨の招待でしょ?
彼の友達は私の友達でもあるんだから。」
「多分社交辞令ですよ。」
「時雨はそんなこと言わないわよ?」
「結城先輩は優しいから。」
「時雨が?
…やっぱり貴女は時雨にとって特別な人なのね。
時雨が他人を助けるなんて、初めて見たわ。」
葉月さんはそう言ってくれたけど、自分が先輩の特別な人だなんて、あり得ないと思った。
だってそれは…葉月さんの事だと思うから。
「純の事もごめんなさいね。
聞いたわ、宣戦布告したって。
可哀想な子なの。」
「えっ?」
「寂しさを強がりで隠してる。」
「伊崎…先輩がですか??」
何かあり得ない気がして、そう聞き返す。
「えぇ。
両親にあえるのは、1年に数える程。
それに生まれてからずっと、友達からも周りの大人達からも大企業の後継者として扱われてきたの。
想像出来る??」
その言葉を聞いて、首を横に振るしか出来なかった。
「負けないでね。
貴女の事気に入ったから、応援するわ。」
「ありがとうございます。」
「私の事は気兼ねなく、聖奈って呼んでね。」
「いやそれは…聖奈さんで。」
「うん。
良し!出来た!!
立って。」
聖奈さんは、同時に立ち上がった私を上からしたまで見て、何かに気づいたように微笑んで私の背後に向かっていった。