僕らのはなし。①



あれから、あっという間に聖奈さんの出発の日になった。


私は聖奈さんの見送りに行こうと家から出ると、家の前に黒の高級そうな車が停まっていた。

嫌な予感がして、さっさと車の前を通り過ぎる。

「おいっ、星野!!
待てよ。」
車から出てきた男がそう言って、私の腕を掴んだ。
勿論その男とは伊崎で…。

「何?」
「迎えに来た。
乗れ。」
「結構です。」
「話もある。」
いきなり来といて、偉そうに連れてこうとする伊崎に、直ぐ断るとそう言い出した。


「私にはないから。
てか、顔も見たくないって言ったはずだけど?
話なら此処でして。
私、早く見送り行きたいから。」
「悪かった。」
「えっ?」
思いがけない言葉に少し驚いて聞き返した。


「悪かった。
この前はやり過ぎた。」
「何で?」
「ん?」
「何であんな事を??」
「自分でも分からない。
けど、やり過ぎなのは分かった。
許してほしい。」
「…分かった。
忘れる。」
本当は自分でも分からない理由でファーストキス奪われたなんて言われて、少しムカついたけど、問題を長引かせたくないし、コイツが謝らない奴なのは分かってるから謝ったってだけでもうこの件については何も言わない事にした。



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