詐欺師の恋
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か、身体が、痛い。



足も痺れてる。





ものすごく眠いけど。



ちょっとなんかこの体勢が、キツすぎる。




しかもさむっ。



全くはっきりしない頭で、なんとか目を開けた。




薄暗いけれど、恐らく夜明け。



カーテンの隙間から、外が白けてきているのがわかる。





「あ…」





段々と曖昧だった記憶が、形を成してきて私は思わず声を上げた。





―そうだった。中堀さんの寝顔を見ながら、ソファの端に突っ伏して寝ちゃったんだ、私。




道理で、足が痺れている筈だ。



ぺたんと床に座ったままだったんだもの。





四苦八苦しながら体勢を崩し、痺れを逃す。




落ち着いてきたところで、ちらりと中堀さんに目をやった。




熱はまだあるようだが、よく眠っている。





―29日にやっている病院が近くにあるだろうか。




考えながら、額にのせてあった、もうぬるくなったタオルを取り上げキッチンへ立った。





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