詐欺師の恋



伝わらない。


届かない。


でも想いが途切れない。






「っつ…ふっ…」




どうしようもない。



今の自分の気持ちを、なんて言い表わしたら良いのかすら、思い浮かばない。




嗚咽を漏らしながら、その場にくずおれた。



何もなくなった景色が、やけに肌寒い。








願わくば。





私が伝えたいことの、ほんの少しでも良いから。



中堀さんの心に入ってくれれば良いのにと思う。



私が変わってないって、知っていて欲しい。









いつかを期待してしまう往生際の悪い私を許してね。



花を届けてくれた理由を、考え巡らしてしまう私を笑っても良い。






もう。。




二度と会えないとしても。



二度とない恋をした。




切なくて、辛くて、苦しくて。





結局、ちゃんと交わることは、なかったけれど。





愛しくて、愛しくて、仕方ない記憶。




こんな恋ならしなければ良かったなんて、思わないよ。


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