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「…もし、あたしが受けないって言ったらどうする?」

「その時は… 内科でも製薬会社でも乗り込むか!」

いたずらっぽく微笑む彼が頼もしく見えた。

今なら、甲ちゃんになら “あのこと”を話してもいいかもしれない。

「あのね… その…」

「ん?」

あたしにとって地球が崩壊しちゃうくらいショックな真実なら

オブラートに包んでね!としつこく念押ししてから昨日見つけた写真のことを聞いてみた。

「貴が生まれたとき、俺達はアメリカにいたんだよ?可能性は限りなく低いと思うけどな」

「じゃあ、あの写真は?付箋は?」

「たぶんだけど、帰国後 恒兄が父親代わりしてくれた時のじゃないかな。

じゃなきゃ今頃、織依さんも加わって泥沼だよ」

…確かに。親友に彼を取られて子供ができたなんて言われたら流石のママも悠耶さんとは絶縁しちゃうよね。

それにその後、あたしも生まれていないかもしれない。

よくよく考えたら分かることなのに…

今更ながら自分の勘違いが恐ろしい。
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