奥様のお仕事
とても外は冷えているようだった。

帰ってきた浩一郎がすぐに温かくなるように
鍋焼きうどんの用意をして 
帰ってくるのを待っていた。


スマホが鳴って 浩一郎からだった。


「もしもし~」
帰るコール


「ごめん マリン
夕飯支度したよね」


「うん あったまる鍋焼きうどんだよ」


「それ明日絶対食べるから
ごめんな 急に仕事が入っちゃって少し遅くなる」


地獄へ突き落された感じ

「あ そうなんだ」

普通の奥さんのように 不満を口には出せない
雇い主の都合を 雇われた方は受け入れるだけ

「わかった 気をつけて」


「先に休んでて」


「そんなに遅くなるの?」


「多分」


なんとなく なんとなくだけど
いつもの 浩一郎とは少し違うような 不安感


「はい じゃあ」


電話を切って大きなため息をついた。


張り切っていた鍋焼きうどんが寂しそうだった。
明日食べるって言ってたし・・・・・
冷蔵庫に食材を片付けて

自分はシリアルに牛乳をかけてすませた。


一人で食べるのって味気がない。


「バ~カ」

浩一郎に直接言えない言葉を連呼した。


「つまんない」
ソファーに寝転んだ。
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