奥様のお仕事
長いベールを顔の前にかけられた。


「綺麗ですよ 花嫁さん すごく綺麗!!」

スタッフさんが 上手に褒めてくれて嬉しくなる。
先日の披露宴では 余裕がなくて ドレスも楽しめなかった。


「素敵なご主人ですものね」


「タキシード素敵でしたよ」


浩一郎が素敵なのは 本当に鼻が高い。
病気で少し痩せてしまったけど 素敵さは変わらずで


惚れ直してしまう。


大きな鏡の前に立つ私
ドレスは 浩一郎が選んでくれたらしい。


夢にまで見た ウェディングドレス・・・・・
愛する人の元へ嫁ぐ

純白のドレスと 長いベール


「では 参りましょうか」


スタッフに先導されて 教会のドアの前に立った。


緊張で足が震える。


なんて気持ちのいい緊張感だろう・・・・・・・


ドアが開いて 神父さんの横に 浩一郎が微笑んでこちらを見ている。
電子オルガンの音に合わせて
即席で叩き込んだ通りに バージンロードを


浩一郎だけを見つめて歩いて行く・・・・・・。


愛する人が差し伸べる手に触れ 二人だけの結婚式が始まった。
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