この気持ちをあなたに伝えたい
 この日から最愛は夢を見るようになった。それは最愛にとって悪夢で、夜中に起きることが増えるようになった。
 重く深い溜息を零しながら、ベランダに出て、風に当たろうとしたのに、全然風が吹いていない。中に入って、扇風機のスイッチを押した。その涼しさを感じていると、父親に通販で買ってもらった本を置き忘れていたことを思い出して、取りに行った。部屋でゆっくりと読もうとしたときに、母に買いものを頼まれて、自分の部屋に本を置いて、金を預かり、食材を買いに出かけた。
 今日も暑いから、できることなら外出を控えて、家の中で過ごしたかったが、今日作るものに必要な材料だから、買うことになった。
 ポケットから買い物メモを取り出し、買うものを確認する。買い物メモに書かれているものだけを買う予定なのに、たくさんの商品が並んでいると、どうしても目移りする。母親に少し多く金をもらい、余ったお金をもらうことができたので、最愛はデザートのところまで移動することにした。
 それなのに、お気に入りのスイーツがなく、他の商品も見たものの、特に欲しいものはなかった。レジで会計を済ませて外を歩いていると、途中で喉の渇きを覚え、自動販売機のレモンティーを買った。レモンティーを飲みながら、マンションへ戻ってエレベーターに乗り、小さなミスをした。いつからなのか、最愛は七階のボタンの下、六階のボタンを押すことが多くなった。
 大学生になってから礼雅のことをたくさん考えるようになった。昔よりたくさん考えて、腹を立てたり、悲しくなったり、照れたり、嬉しくもなった。礼雅のことを考えていると、携帯電話の着信音が鳴った。
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