この気持ちをあなたに伝えたい
 恋愛について知りたいが、なかなか次の言葉を発することができなかった。
 そんな最愛を変に思ったのか、礼雅の笑顔が消えていた。

「最愛ちゃん?」
「礼雅お兄ちゃんは誰かを好きになったことがある?」

 最愛の意外な質問に礼雅は目を丸くした。

「どうしていきなり? 誰かに告白でもされた?」
「そうじゃない。質問に答えて」

 礼雅は少し考えてから、最愛を見て口を開いた。

「可愛いとか綺麗だと思う子は何人かいたけど、好きにはならなかったな」
「どうして?」
「その子の嫌な面を見たから・・・・・・」

 嫌な面とは性格のことを言っているのか、最愛が考えようとすると、礼雅は言葉を続けた。

「何度か話していると、そんなに面白くなかったり、影で人の悪口ばかり言い続けていたりね」
「なるほどね・・・・・・」

 それは確かに嫌になる。一緒にいても絶対に楽しくないことは見えている。

「最愛ちゃんは?」
「何が?」
「俺にぶつけた質問。最愛ちゃんは誰かを好きになったことがある?」

 はっきりいないことを伝えると、別の質問を投げられた。

「意外だね。かっこいい子はいないんだ?」
「その、うん・・・・・・」

 それ以上言葉が続かなかったので、最愛は頷いて終わった。

「そっか・・・・・・」
「恋愛ってよくわからなくて・・・・・・」
「急いでするものでもないしね。相手がいないとね」

 それを聞いて安堵の溜息を吐いた最愛を礼雅は見逃さなかった。

「礼雅お兄ちゃんはどんな人がいいなと思うの?」
「うーん、最愛ちゃんとか?」
「もう、真面目に」
「本当なのにな・・・・・・」

 最愛が怒っていると、苦笑いをされた。その態度が嘘だと思いたくなる。
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