この気持ちをあなたに伝えたい
「・・・・・・礼雅お兄ちゃん?」
「あ!」

 か細い声に気づき、振り返ってこっちを見ると、携帯を切って最愛に笑いかけた。

「また会ったね。最愛ちゃん」
「電話の邪魔をしちゃった?」
「そんなことないよ。それより珍しいね。こっちを通るなんて・・・・・・」

 いつもだったら、路地裏を通らないことは彼も知っている。

「うん。いつもの道は怖そうな高校生達がたくさんいたから」
「そっか。じゃあ、家まで送り届けることにするよ。俺も帰るところだったからね」
「お願いします」

 最愛が頭を下げると、礼雅の大きな手が優しく撫でた。
 礼雅の隣にいると、さっきまで緊張していたのが嘘のようにどこかへ消え去った。以前のように手を繋いでもらい、互いのことについて話をした。

「高校生になってから、ほとんど俺のところに来なくなったね?」
「そうだね。たまに行ってもタイミングが悪くて、留守だったの」

 二人で歩いていると、礼雅が最愛の手をじっと見ている。

「最愛ちゃん、さっきはよっぽど怖かったんだね。かなり強く手を握っているよ?」
「ごめんなさい!」

 最愛が手を緩めようとしたら、今度は礼雅が手の力を強めた。

「別に怒っていないよ? ただ可愛いなと思っただけ」
「相変わらず人をからかうことが好きだね」

 昔から礼雅は人をからかっていて、それは現在も変わっていない。

「最愛ちゃん限定だよ?」
「そんな限定は嬉しくない・・・・・・」

 礼雅は楽しそうな声を上げて笑った。

「あのさ、礼雅お兄ちゃん・・・・・・」
「何?」
「えっとね・・・・・・」
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