俺は、危険な彼に恋をした。
──────***──────
「……………。」
「……………。」
璃空さんと、俺の間に沈黙が流れた。
璃空さんから、全ての話しを聞いた時、俺は言い返す言葉が見付からなかった。
頭が、混乱して。
それよりも、動揺のほうが強かった。
俺は、掛け布団に蹲った。
「洸……」
掛け布団に蹲る俺に、璃空さんが声を掛ける。
「すいません……俺。」
「構わない……何もしらなくて当然何だ。気を落とす事じゃない。」
「…………。」
俺は、あの日の事件の事は良く覚えて居る。
中学生だった俺は、まだ子供みたいなもんで。
目の前でおこったあの日の事件以来消えぬ過去になった……。
あの日は、激しい雨が降り続いていた。
風も酷くて。
そんな中、いつものように学校から家に帰って来た。
『ただいま一!』
いつもなら玄関先から俺の声が聞こえると、おかえりってリビング先から聞こえる母さんの声が、その日は沈黙が流れていた。
『あれ……お母さん居ないのかな。雨降ってるのにさては買い物にでも行ったかな。』
靴を脱ぎ、俺は真っ直ぐリビングへと向かった。
それは、ほんの一瞬の出来事だった。
リビングへと来ると、俺は持っていた鞄を落とした。
『お…かあさ…。』
『洸っ…隠れ…てなさい。』
『お母…さっ………。』
『隠れ…て…こっちに来ては駄目!』
『うっ…んっ…。』
自分の目の前で、いま一体何がおこっているのか理解何て出来なかった。
その場にただただ立ち尽くすしかできなかった。
足が竦んで、動けなかった。
真っ暗なリビングで、母さんは床に倒れていて、何故か見覚えのない知らない奴が倒れる母さんの上に乗り掛かり首を締めていた。
『美奈に手を出すな!』
『お、お父さん……!?』
そこに、親父が慌てて帰ってきた。
びしょ濡れのまま親父はそのまま真っ直ぐ走りながら母さんの首を締めてる奴を思いきり殴った。
『げほっ…げほっ…はっ…はっ。』
『美奈!?大丈夫か!すまない、遅くなった。』
『わたしは…平気よ。それよりも…』
『ああ、わかっている。お前は下がっているんだ。』